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ペガサス情報誌

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【R8.3 ペガサス情報誌】◆退職勧奨って何ですか?◆税制改正大網2026◆スポットワークについて

2026年03月02日

 

 

退職勧奨・税制改正大綱2026・スポットワークに関する実務ポイント

Contents 1. 退職勧奨って何ですか?

時折「辞めてもらいたい人がいる」と直球のご相談をいただく事があります。期待した成果が上がらない、あるいは職場の規律を乱すなど、理由は様々です。その際、解雇を想像される方も多いですが、もう一つの選択肢として退職勧奨があります。今回は退職勧奨の基本と注意点をお伝えします。

退職勧奨と「解雇」の決定的な違い

まず、退職勧奨は解雇とは法的に全く異なる性質のものです。 解雇は会社が一方的に雇用契約を解除する行為であり、日本では非常にハードルが高いものになっています。これに失敗すると不当解雇として争われ、多額のバックペイ(未払賃金)の支払いや復職を命じられるリスクがあります。

一方、退職勧奨はあくまで退職を促すための話し合いです。最終的に従業員が同意し、退職届を提出することで合意退職が成立します。双方が納得した上での終了であるため、正しく進めれば後々の紛争リスクを大幅に抑えることが可能です。

実務上の注意点

退職勧奨を進める上で最も警戒すべきは、それが「退職強要」とみなされることです。以下の様なやり方をすると、たとえ退職届を受理していても、後に無効とされたり、慰謝料請求の対象になる可能性があります。

  • 1回あたりの面談が長時間(例:2時間を超えるなど)に及ぶ、あるいは短期間に何度も呼び出す
  • 感情的に叱責する、「辞めないならクビにする」と断定する、人格を否定するような発言をする
  • 多人数で一人の従業員を囲んで退職を迫る、大声で恫喝する、即答を強要して考える時間を与えない

失敗事例に学ぶリスク回避

過去の裁判例でも、退職を拒否している従業員に対して執拗に面談を繰り返したケースや、退職を促すために本来の業務とは無関係な過酷な環境に配置転換したケースなどは、その多くが違法と判断されています。

また、よくある失敗として口頭のみで済ませてしまうことが挙げられます。条件面や退職理由について言った・言わないの争いにならないよう、面談の内容は記録し、最終的な合意事項は必ず退職合意書として書面に残すことが求められます。

最近では、秘密録音(相手に言わずに録音すること)が非常に増えています。面談では、こちらから録音を提案した方が感情的にもならず、余計なことも言いにくいのでお勧めです。

経営者に求められる判断

退職を勧めただけで合意に至るケースもありますが、円滑に合意を得るためには、単に辞めてほしいと伝えるだけでなく、相手が納得できる条件をセットで提示することが現実的です。再就職支援、有給休暇の買い取りや完全消化、あるいは特別退職金の加算など、相手の不利益を緩和する提案を用意しておくことで、交渉の出口が見えやすくなります。

退職勧奨は、あくまで従業員の自由な意思によって退職するかどうかを決めるものであるため、こうすれば絶対に上手くいく(辞めてもらえる)というものはありませんが、こうすると失敗するというものはいくつかあります。お困りの際には是非、ご相談ください。 (粟津)

Contents 2.税制改正大綱2026

2025年12月、与党より「令和8年度税制改正大綱」が公表されました。現段階では確定ではありませんが、前号に引き続き、今回は、青色申告特別控除、賃上げ促進税制の見直しについてご説明します。

◆青色申告特別控除の控除額と要件の見直し

現行では、複式簿記で記帳を行い、e-Taxで申告をすれば、最大65万円の青色申告特別控除を受けることができます。今回の改正により、令和9年分より、電子帳簿の保存をすることにより、最大75万円の青色申告特別控除を受けることができるようになります。ただし、電子帳簿保存をしない場合には、最大65万円のままです。

また、現在最大55万円の控除額の方が、令和9年分以降も書面にて所得税申告書等を提出する場合、控除額が最大10万円に少なくなります。

簡易簿記により記帳していた方で、前々年分の収入金額が1,000万円を超える場合、控除額が0円となります。

◆賃上げ促進税制の見直し

従業員への給料等を前年度より一定額以上上げた場合に、法人税または所得税の税額控除が受けられる制度ですが、今回の改正により、「企業規模ごとの適用区分の明確化」と「大企業・中堅企業の段階的廃止」、「中小企業の制度維持(ただし要件一部縮小)」、「教育訓練費の上乗せ措置の廃止」が行われます。

このように、教育訓練費による上乗せ措置が廃止されるため、これまで最大45%だった税額控除率は、令和8年度以降最大35%となります。なお、廃止時期は未定となっています。 (岩崎)

Contents 3.スポットワークについて

1. スポットワークとは

スポットワークとは、1日単位・数時間単位など“短時間・単発”で働く雇用形態で、近年はアプリを通じて労使間で即時に雇用契約が成立し働くスタイルとして東京などの都市圏を中心に急速に広がっています。今回はスポットワークの特徴と、企業側から見た活用する場合の注意点についてお伝えします。

2. 特徴、派遣との違い

スポットワークは仲介事業者の仲介アプリを通じて事業主と労働者(スポットワーカー)が直接労働契約を締結・雇用して事業主の元で単発に働く形態です。一見、派遣(労働者派遣)に似ていますが、派遣は派遣会社(派遣元事業主)が自己の雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受けて派遣先のために労働に従事させる形態です。

※スポットワークと労働者派遣との比較

【スポットワーク】 【派遣(労働者派遣)】
雇用主 実際に働く企業 派遣会社
給与支払者 実際に働く企業(または仲介業者) 派遣会社
法的制限 特に制限なし1日単位での直接雇用が可能
採用形態 アプリでの直接マッチング 派遣社員として派遣会社で採用・登録

3. 厚生労働省の見解

厚生労働省は昨年、スポットワークについて労務管理上の留意事項に関するリーフレットを作成・公表しました。スポットワークについて、仲介業者のアプリを用いて事業主が掲載した求人に労働者(スポットワーカー)が応募し面接等を経ることなく、先着順で就労が決定する求人では、別途特段の合意がなければ、事業主が掲載した求人に応募した時点で労使双方の合意があったものとして労働契約が成立すると一般的には考えられる、との見解が示されています。

また、一度確定した労働日や労働時間を変更するには労使双方の合意が必要とし、労働契約成立後に事業主の都合で丸1日休業させたり、仕事が早く終わったため労働時間を切り上げて早上がりさせる場合は休業手当の支払いが必要とし、企業が直接雇用しているため、通勤途中または仕事中にケガをした場合は労災保険の手続も必要とされています。

4. まとめ

スポットワークは、「短時間・単発で働ける新しい雇用形態」であり、アプリを通じて即時に仕事が決まる柔軟な働き方です。人手不足の場合すぐに人員の補充ができるメリットがあります。一方、派遣ではなく直接雇用なので、利用する企業側には労働法上の義務が生じます。 (伴野)

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