【R8.2 ペガサス情報誌】◆【注意】「2週間無料」求人広告トラブルにご用心!◆税制改正大網2026◆高額療養制度について
2026年02月02日
目次
Contents 1.【注意!】「2週間無料」求人広告トラブルに用心!
〜騙されないための対策と法的判断のポイント〜
昨今、中小企業や個人事業主をターゲットにした求人広告を巡るトラブルが急増しています。巧妙に法の隙間を突く悪質な手法について、その実態と対策をまとめました。
1. 被害の典型的なメカニズム
多くの場合、以下の5ステップで「逃げられない状態」に追い込まれます。
- 甘い勧誘:「今だけ2週間無料です。期間内に解約すれば費用は一切かかりません」と電話が入る。
- 安心させる嘘:「期限が来る前に、必ずこちらから継続確認の連絡をします」と口頭で約束する。
- 契約の成立(書面の送付):詳しい説明がないまま、FAXやメールで「申込書」を返送させる。
- 音信不通・拒絶:期限が近づいても連絡はなく、こちらから連絡しても「担当者不在」等で逃げられる。
- 高額請求:期間終了後、「自動更新された」として20万〜30万円の請求書が届く。
2. なぜ「泣き寝入り」が起きるのか(法律上の課題)
- BtoB取引の厳しさ(消費者契約法の対象外):事業者同士の契約には、消費者のような手厚い保護(クーリング・オフ制度など)が原則ありません。「契約書をよく読まなかった方が悪い」という自己責任論が強く働きます。
- 立証の難しさ:「電話で言った・言わない」の口頭の約束は、録音がなければ証拠になりません。相手は「書面に自動更新と書いてある」という一点を主張してきます。
- 費用の逆転現象:被害額が20万〜30万円の場合、弁護士費用がそれを上回るケースが多く、法的な対抗を断念せざるを得ない状況に追い込まれます。
3. 「詐欺」かどうかを判断する3つの基準
| 判断基準 | 内容の具体例 |
|---|---|
| 虚偽の説明 | 「必ず事前に連絡する」と言いながら、意図的に連絡を絶つ行為。 |
| 解約妨害 | 解約の連絡をしようとしても電話に出ない、受取拒否をするなどの行為。 |
| 実態のない媒体 | 求人サイトそのものに閲覧者がおらず、広告価値が皆無である場合。 |
4. 被害を防ぐための「3つの徹底」チェックリスト
- ① 「無料」という言葉を疑う 見ず知らずの会社からの「無料」には裏があると考え、安易に承諾しない。
- ② 「自動更新」欄を見逃さない FAX一枚であっても、小さな文字で書かれた「期間内に解約なき場合は有料」の文言を見逃さない。
- ③ 即答せず、専門家に相談する 「顧問(弁護士・税理士・社労士など)に相談してから回答する」と伝え、一度電話を切る。
5. もしトラブルに巻き込まれたら
- 証拠の保全 着信履歴、送られてきたFAX、メール、サイトのスクリーンショットをすべて保存。
- 内容証明郵便での通知 「説明と異なる」「解約妨害があった」として、契約の無効や取消を主張します。
- 公的機関へ相談 「188(いやや)」:消費者ホットライン(事業者間でも相談可能な場合あり)。
弁護士会の法律相談:少額訴訟などの検討。
【当事務所からのメッセージ】
こうしたトラブルは経営者の精神的ダメージも大きいです。「怪しい」と感じた段階で、一人で悩まずお気軽にご相談ください。当事務所では、経営者の皆様が本業に専念できるよう、法的トラブルの初期対応や専門家への橋渡しを全力でサポートいたします。(小木)
Contents 2.税制改正大綱2026
2025年12月19日に、与党より「令和8年度税制改正大綱」が公表されました。税制改正大綱は政府与党が、税制改正案として取りまとめたもので、通常国会が開かれて令和8年の予算として審議されるものです。現段階では確定ではありませんが、インフレ対策や働く世代の手取りを増やそうという背景での改正案が盛沢山となっています。今号はその一部になります。
① 年収の壁160万⇒178万へ
2024年までは103万円、2025年は160万円でした。2026年には178万円になります。2026年からは物価変動に応じて基礎控除と給与所得控除を引き上げる仕組みとなります。具体的には直近2年間の消費者物価指数の伸びに連動させ、調整をしていきます。2026年は4万円ずつ引きあがります。
② 住宅ローン減税を延長と見直し
災害リスクの高い地域での新築住宅については、住宅ローン減税の対象から外れます。
③ NISA(少額投資非課税制度)の対象を18歳未満に拡大
これまで18歳以上(成人のみ)とされていた要件が撤廃され、0歳から利用できる新たな枠組みが導入されます。
年間投資枠は60万円、非課税保有限度は600万円で、払出は12歳以降でなければできず、教育資金な子どものためで同意が必要です。18歳を迎えると自動的に18歳以上のNISAに移行されます。
④ 暗号資産取引 総合課税から申告分離課税へ
これまで雑所得として、最大55.945%の総合課税が適用されていた暗号資産取引について、金融商品取引法等の改正を前提に、株式等と同様の申告分離課税(一律20% [所得税15%・住民税5%])が導入されます。55.945%は世界的に見ても高水準で投資家が売買をためらう一因にもなっていましたが、税負担を減らし国内市場の活性化が狙いとなっています。
損失繰越も株式と同様に損失を翌年以降3年間繰り越して控除が可能です。
⑤ 中小企業者等の少額減価償却資産の特例
次号も税制改正大綱の改正案についてご案内していきます。
もっと詳しく知りたい、他の改正についてはどうなの?など疑問点がございましたら当事務所までお気軽にお問い合わせください。(富田)
Contents 3.高額療養費制度について
高額療養費制度の改正についての報道を目にする機会が増えているのではないかと思います。制度を利用されていない方にとってはわかりづらい部分がありますので、制度内容と改正の方向性についてお伝えします。
高額療養費制度 = 医療費が一定の額までの支払いで済む制度です。
◆上限額 : 個人の収入により決まります。(5段階)
例 : 年収370万円程度~770万円程度 ➡ 上限額=約8万円/月
(年収や上限額の計算はもう少し細かいですが、単純化してお伝えします)
とある月に100万円の治療を受けたとします。
3割負担の方であれば、本来30万円の個人負担となるところですが、
高額療養費制度により約8万円の負担で済む、というものです。
次に制度改正の話のなかで耳にする「多数回該当」と「外来特例」についてです。
◆多数回該当
先程のかたが重い病気で、高額療養費制度が適用され続けた場合は、上限額が低下する、という制度です。
例 : 1月から12月まで毎月100万円の治療をうけた。
1~3月 = 約8万円 × 3か月
4~12月 = 約4万4千円 × 9か月
→年間で約63万6千円
このように、4回目からは上限額が半額程度に低下し、負担軽減となります。
(過去12か月以内に3回以上、上限額に達した場合に適用)
一方、この例で約8万円に満たない支払いが毎月続く場合は、多数回該当が適用されるケースより年間の負担が増えてしまう、という問題点もあります。
毎月7.9万円で済んだ場合 = 7.9万円 × 12か月
→年間で94万8千円
◆外来特例
70歳以上の方限定ですが、外来診療の費用が一定の額までで済む特例です。
医療費1~2割負担の方 = 18,000円/月(年14.4万円という上限もあります)
住民税非課税の方 = 8,000円/月
と、こちらも上限額は所得に応じて決まります。
毎日のように通院しなければならない、住民税非課税の方がいたとします。
・12/1 通院 窓口で5,000円を支払い
・12/2 通院 窓口で3,000円を支払い
・12/3~12/末まで 0円 で何回でも通院できる
ということになります。月単位で同じことを繰り返すことが可能です。
治療が必要な高齢者にとって欠かせない制度ではあるものの、「病院通い放題」などと皮肉られてしまってもいます。
このような高額療養費制度ですが、現在見直しが検討されています。
高齢化や高額薬剤の普及等により高額療養費が年々増加し、現役世代を中心とした保険料負担の増加につながっています。その状況に歯止めをかけるため、給付を抑える以下のような「案」が出ています。
☆上限額
・上限額の数%~十数%のup
・5段階の年収区分を細分化し、所属区分が変わることにより上限額が増加
☆多数回該当
該当時の上限額の維持に加え、年間上限の設定
→重病患者などに配慮し、上限額を維持したうえで、年間の上限も設けることが検討されています。
(前述の例のような逆転現象への対策)
☆外来特例
・上限額の増加(数千円~1万円程度)
・70歳以上、という年齢制限の引上げ
セーフティネットとしての役割と、将来にわたる社会保険制度の維持や現役世代の負担軽減、どちらも実現しなければなりません。(山田だ)
