【R8.1 ペガサス情報誌】♦年始のご挨拶 ♦年金制度改正法について ♦従業員数に応じた企業の義務一覧 ♦令和8年から変わるインボイス制度のポイント
2026年01月05日
目次
Contents 1.ごあいさつ
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
皆様におかれましては、健やかに新年をお迎えになられましたことと、心よりお喜び申し上げます。
本年2026年は、昭和元年(1926年)から100年となる節目の年です。
昭和は戦後の復興と急速な発展を遂げた激動の時代であり、その後の平成・令和へと移り変わる中でも、社会は常に新たな課題に向き合ってきました。政府においても、昭和100年にあわせた記念行事が予定されているようです。
また、私たちの業務に関わる分野では、労働基準法が40年ぶりに大幅改正される可能性が取り沙汰されていますが、現時点では具体的な内容は明らかにされておりません。
当グループは、法改正に迅速に対応できるよう、引き続き積極的に情報収集に努め、皆様への的確な情報発信に取り組んでまいります。
結びに、本年が皆様にとりまして実り多き一年となりますよう心よりお祈り申し上げますとともに、変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。(グループ代表 伊藤)
Contents 2.年金制度改正法について
今回は、年金制度改正法の「社会保険の加入対象拡大」と「在職老齢年金の見直し」についてご説明致します。
① 社会保険の加入対象拡大について
中小企業の短時間労働者などが、厚生年金や健康保険に加入し、年金の増額などのメリットを受けられるように改正が行われています。
◆まず、短時間労働者の賃金要件が見直しされ、月額給与88,000円以上については、全国の最低賃金の引上げの状況を見極め、3年以内に廃止されます。
(いわゆる106万円の壁ですが、R7年の最賃上昇により、実質的に意味を失っている状態です)
◆また、労働時間については2035年10月までの間に、週の勤務時間が20時間以上の方が加入対象となり、企業規模要件は段階的に撤廃となります。
※2029年10月から、常時5人以上の者を使用する個人事業所の適用対象も、17業種から「全業種」に拡大されます。但し、2029年10月時点で既に存在している事業所は当分の間、対象外となります。
② 在職老齢年金の見直しについて
2026年4月から、一定の収入のある厚生年金受給権者が対象の在職老齢年金制度について、支給停止となる収入要件の金額が51万円から62万円に引き上げられます。
【在職老齢年金を取り巻く環境】
見直しの効果として、年金を受給しながら働く高齢者が、保険料負担に応じた本来の年金を受給しやすくなり、年金の減額を意識せず、より多く働けるようになります。
また、これにより一部の業界で指摘される高齢者の働き控えを緩和し、人手不足の解消につなげます。(加藤)
Contents 3.~従業員数に応じた企業の義務一覧~
企業が成長する過程で、従業員数の増加に伴い対応すべき法的義務が段階的に増えていきます。本記事では、従業員数別に企業が対応すべき主な義務をまとめました。自社の現状を確認し、適切な対応を進めるための参考にしてください。
📌 従業員数のカウント方法について
まず重要なポイントとして、「従業員数」のカウント方法を理解する必要があります。企業の義務は、事業所単位で人数をカウントする場合と会社全体でカウントする場合の2つに分かれます。
▶事業所単位でカウントする義務
就業規則や安全衛生管理体制は、各事業場の労働環境に応じて個別に対応する必要があるため、事業場ごとに従業員数をカウントします。本社と支店が別の場所にある場合、それぞれの事業場で従業員数を独立してカウントします。
▶会社全体でカウントする義務
社会保険や障害者雇用は、企業全体の経営規模や経営責任に基づいて判断する必要があるため、会社全体(法人単位)で従業員数をカウントします。複数の事業所がある場合でも、法人全体の従業員数で判断されます。
📋 従業員数別の主な義務一覧
●5人以上
社会保険への加入 個人事業所の適用業種が対象
※法人は従業員数に関わらず加入義務あり
●10人以上
就業規則の作成・届出
常時使用する労働者が10人以上の事業場
※パート・アルバイトを含む
安全衛生推進者または衛生推進者の選任
・製造業、建設業、運送業など:安全衛生推進者
・その他の業種(介護、小売業など):衛生推進者
●40人以上
障害者雇用義務(1人以上)
常時雇用する労働者が40人以上の企業
※法定雇用率2.5%(2024年4月~)
●50人以上
衛生管理者の選任
すべての業種
産業医の選任
すべての業種
安全管理者の選任
製造業、建設業、運送業、清掃業など特定業種のみ
衛生委員会の設置
すべての業種
安全委員会の設置
製造業の一部、建設業、運送業の一部など特定業種のみ
ストレスチェックの実施
年1回以上実施し、結果を労働基準監督署に報告
定期健康診断結果報告書の提出
所轄労働基準監督署へ報告
休養室の設置
常時50人以上または女性30人以上の場合
●51人以上
社会保険の適用拡大(短時間労働者)
特定適用事業所に該当
※厚生年金保険の被保険者数が51人以上(2024年10月~)
●100人以上
総括安全衛生管理者の選任 林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業
●101人以上
障害者雇用納付金の納付義務 法定雇用率未達成の場合に納付義務が発生
●300人以上
総括安全衛生管理者の選任
製造業、電気業、ガス業、通信業、小売業など
●1,000人以上
総括安全衛生管理者の選任
その他の業種
※「常時使用する労働者」とは…正社員・パートタイマー・契約社員・派遣労働者(日雇いを除く)
📌 2026年7月には障害者雇用制度が改正され、民間企業の法定雇用率が2.7%に引き上げられます。
これにより、現在40人以上の企業で義務付けられている障害者雇用が37.5人以上の企業にまで拡大することになります。
また、Contents 2にてお伝えした社会保険の適用拡大も予定されており、今後加入要件となる従業員数が下がったり、5人以上の個人事業所は全業種が適用対象となっていきます。
📌 まとめ
企業の成長に伴い、対応すべき法的義務は段階的に増えていきます。
自社の従業員数と事業形態を確認し、現在対応すべき義務を把握することが重要です。また、今後の人員計画を踏まえ、将来的に対応が必要になる義務についても事前に準備を進めることをお勧めします。
ご不明な点や具体的な対応方法については、お気軽に当事務所までご相談ください! (伊藤か)
Contents 4.令和8年から変わるインボイス制度のポイント
令和8年(2026年)は、インボイス制度が本格化する重要なターニングポイントです。これまで事業者の負担を軽減していた「2割特例」の終了と「仕入税額控除の割合変更」という、2つの激変緩和措置が大きく見直されます。
早めの確認と具体的な対策が、今後の納税額と事務負担を大きく左右します。
本文を参考にご検討ください。
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1. 【売り手側】免税事業者向け「2割特例」が終了
インボイス登録を機に免税事業者から課税事業者になった事業者が対象の「2割特例」(消費税の納税額を売上税額の2割に抑えられる制度)が終了します。
💡終了のタイミング
この特例は、令和8年9月30日を含む課税期間をもって終了します。
〈区分〉 〈2割特例が使える最終課税期間〉 〈終了後の計算方法〉
個人事業主 令和8年1月1日〜12月31日分 簡易課税or本則課税
法 人 ※令和8年9月30日を含む事業年度 簡易課税or本則課税
💡 ※法人の場合:令和8年9月30日を含む事業年度の例
〈決算日〉 〈2割特例が使える最終課税期間〉 〈終了日〉
9月30日 令和7年10月1日〜令和8年9月30日 令和8年9月30日
12月31日 令和8年1月1日〜令和8年12月31日分 令和8年12月31日
3月31日 令和8年4月1日〜令和9年3月31日分 令和9年3月31日
8月31日 令和8年9月1日〜令和9年8月31日分 令和9年8月31日
💡特例期間終了後の計算方法
2割特例終了後は、後述する「消費税簡易課税制度選択届出」が提出がされていない限り、自動的に事務負担の重い「本則課税」に切り替わります。事務負担や税負担を軽減したい場合は、「簡易課税」(業種ごとのみなし仕入率で計算)への事前の届出が必要です。
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2. 【買い手側】免税事業者との取引の負担が増加(控除経過措置80%⇒50%)
インボイス未登録(免税事業者)との取引から差し引ける(控除できる)消費税の割合が変わります。これは、免税事業者へ発注・支払いを続けているすべての企業・事業者が対象です。
控除割合の変化(令和8年10月1日より)
〈期間〉 〈免税事業者からの仕入れで控除できる割合〉 〈影響)
〜令和8年9月30日 80% 控除可能 今現在の控除割合
令和8年10月1日~ 50% 控除に減少 納税負担が増加
💡 免税事業者への支払が多い企業は、この変更により消費税の納税負担が急増する可能性があるため、取引方針の見直しや、免税事業者へのインボイス登録要請などを検討する必要があります。(令和11年9月30日にはこの経過措置が終了し、本則課税の場合、適格請求書でなければ税額控除できなくなります。)
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3. 🔑 期限厳守!簡易課税制度の届出について
2割特例終了後に「簡易課税制度」を利用して事務負担を軽くしたい場合は、必ず期限までに税務署へ「簡易課税制度選択届出書」を提出しなければなりません。
〈対象者〉 〈届出書の提出期限〉
個人事業主 令和8年(2026年)12月31日まで
法 人 2割特例が使える最後の事業年度の末日まで
⚠️ この期限までに提出がない場合、自動的に事務負担の重い「本則課税」での申告になってしまいます。特に法人は決算月によって期限が大きく異なるため、今期の決算月と照らし合わせて確認しましょう。
💡「本則・簡易どちらが得か?」
消費税額についても本則・簡易どちらが得なのか判断がつきにくいと思います。いろいろ判断要素があるのでお気軽にご相談ください。
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制度変更が本格化する令和8年に向けて、ご自身の事業でどの特例がいつまで使えるのか、そしてどのような手続きが必要かを今一度ご確認ください。
ご不明な点や具体的なシミュレーションについては、お気軽に当事務所までご相談ください。セカンドオピニオンも大歓迎です。 (小木)
