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請負トラブル事例

2020年03月06日

特に建設業関係で起こりがちなトラブルとして、一人親方として請負契約をしていた方について、請負契約ではなく、雇用契約として取り扱われてしまうといったケースがあります。今回は、実際に起こったトラブルを事例としてご紹介させていただきます。

 

1.トラブルの流れ

前提として、株式会社Xさんは、屋内設備工事業を営む会社です。従業員数名と社長で現場を回しており、そこに加えて特定の一人親方を使っていました。その一人親方は、元々、Xさんに労働者として在籍しており、工事にかかる資格を取得して独立していった方でした。

そんな折、株式会社Xさんで税務調査があり、その中で上記の一人親方への支払いが、「外注費」ではなく「給与」だと判断されました。つまり、この一人親方の働き方は、労働者的な性格が強いと判断されました。

ご存知のことかと思いますが、一人親方は個人事業主であり、その仕事の対価については、「給与」ではなく「外注費」等として支払いを行います。一人親方に対して給与を支払っていたとなると、どのようなことが起こるのでしょうか。

まずは、源泉所得税の徴収漏れが指摘されます。当然のことですが、給与として支払ったということは、所得税の源泉徴収をしなければなりません。また、外注費については、消費税を上載せして支払っています。この支払った消費税については、受け取った消費税と相殺することができるため、原則的には消費税の納付額が減りますが、給与の場合には消費税が含まれないため、相殺されなかった部分を納付する必要があります。株式会社Xさんでは、実際にこの二つについて、追加納税が発生しました。

一人親方について、実際に税務調査の際に指摘されたポイントは、次の通りです。

  1. 工事の完成等に関係なく、毎月一定額の外注費が支払われていた
  2. トラックや工具、材料などが無償で提供されていた
  3. 事務所のホワイトボードに、当日の予定を記載するようになっていた
  4. 社長から業務に対する細かい指示が出ていた
  5. 一人親方の受注した仕事は、Xさんの下請ばかりだった

これら以外にも、過去のケースから、作業日や作業時間が会社から決められていたり、請負金額が同様の仕事をしている労働者の賃金とあまり変わらない場合等は、労働者的な性格があると判断されます。これらのポイントを中心に、様々な観点から、労働者性が判断がされます。

 

2.税務以外のリスク

また、今回、実際に指摘されたリスクは税務上のものでしたが、他にもリスクは存在します。

請負契約ではなく雇用契約となった場合、実際に働いた時間数等にもよりますが、社会保険・労働保険の被保険者として扱われます。特に社会保険料については、最大2年もさかのぼることがあり、まとまった金額になります。本人負担分も含めて、まずは会社に納付の義務があるので、最悪の場合、本人が支払いに応じずに泣き寝入りになってしまうケースも考えられます。

 

3.まとめ

今回の事例からも分かる様に、一人親方を活用する場合には、注意しなければならないポイントがいくつかあります。実際に労働者的な性格の強い一人親方の方がいる事業主の方は、ご注意ください。会社としても一人親方としても、雇用契約を望まないケースであっても、実態として労働者性を判断されてしまうため、客観的に見て請負契約であることが判断できるような形を整える必要があります。

 

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