【事例紹介】法人と個人で複雑に絡んだ土地建物の所有関係を、適正な「交換」により整理
あるお客様から、法人と個人の間での不動産の所有関係についてご相談をいただきました。
相談者は、法人代表であると同時に、個人としても複数の不動産を保有しており、事業に使用する物件の中で土地と建物の所有者が異なるという複雑な状況に陥っていました。
◆ 背景:所有関係のねじれ
当初、法人と個人がそれぞれ土地や建物を所有していたのですが、事業拡大の過程で、資金繰りや税務面を考慮しながら個別に購入・増改築を進めた結果、次のようなアンバランスな状態が発生していました。
A(個人)土地の上に、B(法人)所有の建物
B(法人)土地の上に、A(個人)所有の建物
つまり、土地とその上に建っている建物の所有者が食い違っているケースが複数存在していたのです。
◆ 解決のアプローチ:土地の交換制度を活用
このような複雑な所有構造を是正し、「土地と建物をセットで同一所有者に整理したい」というのがご依頼の趣旨でした。
そこで当事務所では、以下の点に着目して対応を検討しました。
・土地の面積、評価額がほぼ同等であること
・相互に利用目的が一致していること(事業用)
・「交換」としての税務要件を満たすこと
実際に不動産の評価・比較を行った結果、交換取引として認められる水準にあることが確認できたため、法人と個人の間で不動産の交換を行う方針を提案。
お客様の了承を得て、適切な手続きを経たうえで申告・登記を実施しました。
◆ 結果とポイント
この対応により、それぞれの土地と建物の所有者が一致し、不動産管理の効率化・税務処理の明確化が図られました。
今回のご紹介では、簡単にポイントだけ記載しましたが、賃貸借契約の内容や借地権の問題などが発生することがあります。
土地の購入や建物を建設する際に、最初から私たちが関与していれば、「こうしておく方が良い」というような提案も可能です。
このように、法人と個人で不動産の所有が混在しているケースでは、税務・登記・実務上の観点から整理が必要となることがあります。
適正な評価と制度の活用によって、複雑な状況も円滑に解決できる場合があります。
◆ 専門家の伴走がカギ
不動産の交換取引には、税務知識だけでなく法務や不動産評価の観点も必要です。
当事務所では、社会保険労務士・税理士が一体となり他士業と協力しながら、お客様の状況に応じた最適な解決策をご提案しています。